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「では、トンタロー君。どうぞっ!」

 結局のところ、俺たちは再びブラックオークの村に来ていた。
 というのも、スノウと二人っきりで今後の方針を話し合うと、やれ街を破壊するだの……やれランキング上位の冒険者に喧嘩をふっかけるだの……破滅シナリオしか提案してこない。

 なので、『魔獣狩りに飽きた』きっかけとなったブラックオークとシロヒヒにも問題があったのではないか?という、こじ付けのもと今後の方針についてアイデアを出してもらっている所だ。

「スノウ様たちが我らの王となり、国をつくるのはどうでしょうか?」
 トンタローのアイデアにブラックオークとシロヒヒの歓声があがる。

「……却下だ!」
 歓声は静まり返り、残念そうにしている。

 それでもトンタローは腑に落ちないのか理由を聞く。
「なぜダメなのです?我らもシロヒヒらもあなた方への忠義は――」

「もういるんだよッ!スライムに転生した異世界人が」
「なん……と――」

 さすがにトンタローもこれには言葉を失い、膝から崩れ落ちた。
 トンタローたちがそんな事を知ってるわけが無い。
 なんせこの島(ダンジョン)は外界(がいかい)の事を知るにはあまりにも離れたところにある。

「だがトンタロー!アイデアは出すことが大切だ。その調子で頼む!」
「嬉しきお言葉……。御意ッ!」

 トンタローに少し活気が戻った。

「そおっすね〜。スノウ嬢の力で島ごと大陸の隣りに移動するとかどおっすか〜?」

 この抜けたような話し方をするのは、トンタローの牙を粉々にしたシロヒヒのボスだ。
 ブラックオーク村から撤退しようとしている所だったが、教育的指導により残ってもらった。
 とりあえず、シロヒヒのボスは『ヒッキー』と呼ぶことにした。

「ヒッキーは移動した後にどうなるか考えたか?」
「……あ。考えてないっす」

 叡智(えいち)のシロヒヒは平和ボケしているらしい。

「それも却下だ」

 そのあとも色々とアイデアを出してくれたが、「それだッ!」というものは出てこない。
 そもそも、そんなアイデアを出せる奴がいればこんな事にはなっていないのだが――

「てかさー、あんたはどうなのよ?聞いていれば、却下ばっかりでひとっつも案出してないじゃない」

 スノウ言う通りだ。事実、スノウと二人で今後どうするかを話してた時も、俺の頭には何一つアイデアが浮かばなかった。
 冒険者になってまだ一カ月も経ってないのに『引退』の二文字が早くもチラついている。
 異世界の言葉でいうなら【王手飛車取り】された状態だろうか。

 ふと見上げた空は抜けるよな青空だった。

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