10-1「異世界」

と、息づいてはいるものの……スノウがテレポートでどっかに行かないかぎり、魔獣に遭遇するなんて早々ない。
 クエストがあるじゃないかって?
 そんなものとっくに受注できるものなんて全部消化済みだ。
 もちろん、クエストの際はスノウが最低限の身体強化をしてくれたので、魔獣はなんとか倒すことができた。
 つまり、何が言いたいかというと! ギルドで息づいてから、既に|一《・》|週《・》|間《・》経っているのだ。

 『良い調子でやってるじゃん!』と思うかもしれないが、どのクエストで魔獣を倒しても、スノウと同期(シンクロ)して戦っているときの高揚感はなかった。
 そう、スノウはブラックオークの一件以来、同期(シンクロ)することはなく、過去の冒険者の戦いをキューブで見るのにハマっていた。

「今日は何観てるんだ?」
「は?異世界ものよ異世界もの!」
 スノウが言っている異世界ものとは、異世界(むこう)の人がこっちの世界での様子を異世界(むこう)に流しているものだ。

 あ、これを見てるのは異世界(むこう)の人だから、こっちの世界(いせかい)での様子をそっちの――。
 あー何言っているのか意味わからんくなった!
 
 話は戻るが。スノウの話によると、異世界(むこう)の人にとっては、ゴミのようなスキルでもこっちの世界では結果的には上手く使って無双したり。こっちで転生したら弱小モンスターだったけど、特別なスキルや能力とともに異世界(むこう)での知識や経験で、こっちの世界で結果的に無双しているらしい。

 つまり、異世界(むこう)の人がこっちの世界に来ることは、ほぼ”勝ち確”とのことらしい。
 実際のところ、ギルドの累計ランキング一位から三位は異世界(むこう)の人が独占している。
 しばらくの間は、この記録が変動することは無いだろう。

『なに?異世界ものに嫉妬してんのか?』だって?冗談はよしてくれ!俺だって好きに決まっている。
 魔獣狩りした後に異世界ものを見ながら酒を飲むのが、俺の最近の楽しみだ!

 じゃあ、なんでこんな話になってるかって?

 そう!スノウだ!あいつのやる気はどこ行った?誰かどうやったらあいつがやる気になるのか教えてくれ!

「なによ。一人でブツブツと……、あんたキモいわよ。 それよりもこれ見て!」

 スノウが見せてくれたのは異世界(むこう)でお馴染みの修行パートだった。
 補足:『日間ランキング』で上位の冒険者たちみたいにキューブは上手く作動していただろうか?

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