「えっ?……スノウ様?」
トンタローもテレポートで帰ったはずのスノウたちが、まさかすぐに戻ってくるとは思ってなかったこともあり、唖然としている。
「″隠密″」
スノウはそんなトンタローに構わず、トンタローと自分たちに隠密のスキルを使った。
体は透明になり、足音は消え、地面には足跡すら付かなくなった。
すると、スノウがトンタローの頭の上にちょこんと座り
「じゃあ早速……。ブラックオーク村へレッツゴー!」
そう言ってジャングルの奥を指差した。
そんなスノウのペースに、トンタローが何かに気付いたかのように言った。
「もしかしてスノウ様――。 ヒヒの追っ手を撒くためにわざわざ戻って来てくれただか?!」
トンタローは頭の上に座るスノウを羨望の眼差しでみている。
それに答えるようにスノウが言った。
「あったりまえでしょー!てかあんた、その喋り方やっぱり直ってないじゃない!」
トンタローの頭をペチペチ叩きながらスノウが笑っている。
ついさっき、自らの手で亡き者にした相手とのやり取りには見えなかった。
そんなスノウをみてイーサンは、特に驚かなかった。
その後、トンタローの案内で抜け穴を通って村へと向かった。
抜け穴は村一面を見渡せる急斜面の山まで繋がっていた。
村の作りは抜け道のある東側の急斜面の山を背にして、辺りが森に囲まれている。
「あれ?俺たち、穴に入って下ってたよな?それも穴は南側だったよな?」
イーサンが不思議に思うのもおかしくない。
実際にイーサンたちは太陽を南としたとき、太陽に向かうように穴に真っ直ぐ下った。
しかし、穴の出口からは左側に太陽が見える。
つまり、東から出てきている。
「この島自体がダンジョンって言ったでしょ」
スノウはダンジョンなんだから入り口と出口に矛盾があって当たり前という感じだった。
トンタローの話ではブラックオーク族はその大きな身体な事もあり、ふつうなら急斜面は登りたがらないらしい。
トンタローも好奇心から急斜面の山を登っていたところ、たまたまこの抜け穴を見つけたらしい。
通りでトンタローの下半身が引き締まって見えるわけだ。
村に着くとトンタローが事情を説明し、村の長であるトンタローの父がいる母屋に招かれた。
母屋に入ると、長であるトンタローの父を中心に左右四体ずつブラックオークが座っている。
八体のブラックオークはトンタローの兄姉で、トンタローよりも一回り二回り大きかった。
すると、八体のうち一体のブラックオークがスノウを見るなり、あの鳴き声とともに喋りだした。
「イ”ィ”ィ”ィ”ー!魔人を連れてくるなんて、何を考えてるんだッ! その疫病神をさっさと村から連れ出せー」
トンタローがヒヒたちから自分の命を救ってくれたことを必死に話すが、他のブラックオークも賛同するようにスノウへ罵声を浴びせた。
どうやら、歓迎されていないらしい。
「だから来たくなかったのよ、こんな豚村」
スノウは小さな声で独り言のようにいった。
母屋から出るとトンタローがスノウへ土下座しながら謝罪した。
「すみません。スノウ様……。折角、助けていただいたのに……」
トンタローは悔しそうにそういうと、涙した。
「こんな村出ましょ――」
トンタローが立ち上がって言おうとした時だった。
カンッ!カンッ!カンッ!カンッ!と金属が鳴る音がした。
それは魔獣が攻めてきた時の警戒音だった。
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