「では、まず――」
そう言おうとした瞬間だった、タイミング良くあれが鳴った。
ヴィッ―ンッ!ヴィッ―ンッ!ヴィッ―ンッ!
キューブのアラーム音だ。
この世の終わりを伝えるようなアラーム音に、ひれ伏していたブラックオークとヒヒは悲鳴を上げた。
予期せぬことだったが、絶望感を助長する演出としてこれ以上はない。
《静まれッ!》
アラーム音が止まった。ブラックオークとヒヒがこちらを見る様子が、恐怖の対象から羨望の眼差しに変わっていた。
《では、これにて》
そう言い残してテレポートで家に戻った。
家に戻ると、スノウが体から出てきて「あれだけで良かったの?」と聞いてきたが、十分だと答えた。
なぜなら、あんな魔獣連中に対する興味が失せたからだ。
恐らく、あの魔獣たちが俺らに危害を加えることは無い。
むしろ、手中に落ちたといっても過言ではない。
だから何だというのだ。
《また失敗した》
珍しくスノウと独り言が被った。同期(シンクロ)してないのに
それから数日のあいだ、あの島で何をするのが最善だったのかを考えたが、どの結末も似たようなものだった。
ブラックオークは主体性のない単なる黒豚だし、シロヒヒはボスの言ってたように号令無しには動けない能無しの白猿。
そんな魔獣を狩ったところで満たされるわけがない。
(そもそも冒険者って何なんだろう?)
そう思ったときだった。
「次に進むときが来たわね!」
スノウが体から出てきた。そして、スノウが続ける。
「魔獣だって深く知れば優劣や傾向……ここでは性格っていえばわかりやすいわね。そういったものが見えてくるわ。まぁ他人を知るのに似てるわね。」
「んー?それが次に進むときと何の関係があるんだ?」
遠回りな話をするスノウに尋ねた。
「要するに――あんたは魔獣狩りに飽きたのよ」
「なるほど! って、冒険者にとって魔獣を狩ることに飽きるって致命的じゃないか?」
「はぁ?あんた何言ってんのよ!そこらへんの冒険者ならともかく、あんたはこの大魔人スノウ様の力を借りてるのよ!雑魚ばっか相手にしてたら飽きるに決まってんじゃない」
確かにスノウの言うとおりだ。
かといって、スノウなしで魔獣と対峙するなんて無理な話だ。
これは本当に――今後の方針を話し合わないといけないのかもしれない。
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