「つまり…そういうことってことね!」
イーサンへの一撃が気持ちよく入ったことに満足しているのだろう、スノウは色んなことを端折ってそういった。
「そういうことって、つまりは…」とイーサンが端的にまとめようと、指を折りながら確認し始める。
①スノウは俺(イーサン)の元を去ろう(逃げる)とすると、見えない壁によって阻まれる。
②また、その見えない壁を破壊することはできない。
③スノウは俺を殺すことはできない。
④ただ、殺意の無い攻撃(ツッコミ)は当てることができる。
(一体何なんだ?内容的には従魔の契約に似ている…。だけどそんな契約結んだ記憶ないぞ…)
そう思っていると、まだ状況を整理できていないイーサンを尻目にスノウが「ちょっと、試したいことあるから」と肩に乗り”テレポート”と唱えた。
移動した先はひと気のない大きな湖の畔だった。というより、大きすぎて対岸が見えないので初めは海かと思った。
月明かりが湖面に映し出され、少し肌寒かったが僅かに吹く風が頭を少し冷ましてくれた。
「やっぱりちょっと疲れるわね」
何かに気づいたのだろう、スノウはそう言うと次は”フュージョン”と唱えた。
そう唱えるとスノウの体は白い光の塊となり、イーサンの中へと入っていった。
「おいおい!勝手に色々進めんなよ!」
イーサンはスノウのテンポの速さに少し困惑したようすで言った。
だが、スノウはお構いなしだ。
(あれ?思ったように動かないわね…チッ!)スノウの声が頭の中で聞こえる。
スノウのことだ体を乗っ取ったあと、湖の真ん中ぐらいまで泳いだ所で解除して、溺れ死なそうとでも思ったのだろう。
清々しいほど、魔人の思考回路だ。
そう思っていると、スノウが
(なんか攻撃系のスキル唱えてみなさい)
と言ってきた。
「スキルなしなのに出せるわけないだろうー」
呆れるようにいうが、
(いいから早くっ!)
とスノウがいう。わかったよと”フレイム!”と唱えてみる。
しかし、何も出ない。
ただ単に、少し期待のこもった言葉(フレイム)が、さびしく湖面を通り抜け消えただけだった。
イーサンは顔を赤らせながら
「おいっ!少し期待したじゃねぇかよっ!」
とスノウにいう。するとスノウが呆れた様子で
(これだからスキルなしは~)
そういって、単にスキルを唱えるだけではいけないことを教えてくれた。
スノウがいうにはイメージが重要らしい。炎の大きさ、スピード、温度…などなど。
(じゃあ、もう一回)
スノウに言われっぱなしも、しゃくに障るので驚くようなのを出してやろうとイメージを練り上げていく
「……………”フレイムッ!”」
大きな火球が湖面を割りながら勢いよく飛んでいき、湖の真ん中あたりで消えた。
「これがスキ…ル……」
そういってイーサンの意識は薄れていった。
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