まだ名もないそのスキル#15「ウンディーネとスノウ」

ウンディーネは正座をさせられ、スノウが説教を始める。
「あんたは昔っからそうよね!もうちょっと魔人の自覚を持ちなさい!」

「だって~」
ウンディーネは少しいじけた様子で口を少し尖らせた。

スノウの様子をみてイーサンは
(どの口が言うんだ……)
そう思ったが、話がまた脱線した方向に行きそうだったので口にはしなかった。

(それにしても……これがダンジョンの中なのか)
イーサンはふいに思った。それもそのはず、冒険者たちの話に出てくるダンジョンとは全然ようすが違ったのだ。

冒険者たちがダンジョン攻略のインタビューで話すそれは、洞穴の中や古い建物がダンジョン化したものだったからである。

「……ここってダンジョンの中なんだよな?」
イーサンは独り言のようにそういった。
すると、それを聞いていたウンディーネが
「どう?すごいでしょ!私の城(ダンジョン)!」
そう言いながら説教中のスノウを押しのけ、イーサンに顔を近づけた。

どうやら、もっと褒めて欲しそうな顔をしている。
「自分、ダンジョンに来るのは初めてで。話に聞いてたのと違ったので……」
内心では(顔が近い!)と顔立ちの整ったウンディーネにドキドキしていた。

「そういえば、ウンディーネさんとスノウはお知り合いなんですね」

そう言って、人間の自分が魔人のウンディーネにドキドキして緊張していることを悟られないように話を変えた。

スノウは、そんなこと見ればわかるでしょと言わんばかりの顔をしていた。

だが、ウンディーネは
「やっぱり、私たちが仲良しだってことわかるのね!」
「どこがよっ!」
すかさず、スノウがツッコむ。

だが、ウンディーネはスノウのツッコミをそのままに、嬉しそうに話し始めた。
ウンディーネの話は脱線しながらしばらくの間つづいた。

要約すると、こうだ。
・二人の関係は人間でいうところの二卵性双生児のようなもの
・スノウがまだ幼いころは、ウンディーネがよく助けてあげたらしい(真偽不明)
・ウンディーネは水系統のスキルを主に深めたが、スノウは多系統のスキルに精通している
・ウンディーネがこの湖に城(ダンジョン)を創ったのは1000年以上前で、スノウとはその頃から会ってなかったらしい

「そうだったんですね……」
ウンディーネの話に圧倒されながらも、イーサンは自分が知っている魔人とは全然違うのだなと思っていた。

「ウンディーネさんって全然、魔人っぽくないですね……あっ、良い意味でですけど」

「でしょー!ここら辺の人には女神様って崇められてて。毎年、奉納祭をしてくれるのよ!」
ウンディーネはどこか誇らしげだった。

ウンディーネが機嫌よくしていると、スノウがふわぁと近づいてきた。
すると耳元で
「実はこの子、ダンジョン創ってすぐぐらいに、湖一帯に津波を起こして一度壊滅状態にしてるのよ」
「あっ……。」
イーサンもスノウに言われるまで忘れていたが、わずかに聞き覚えがあった。

「まあ、本人はその時のこと覚えてないみたいだけど」
そう言い終わると、ウンディーネに
「じゃあ、私たちそろそろ帰るから。またね」

ウンディーネは「まだ居ればいいのに~」と引き留めるが

スノウはお構いなく”テレポート”と唱えた。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次