男の名前はイーサン。
彼の仕事は務める商店と取引をしてくれる店を転々と探すようなことをしていた。しかし、物流の進歩によって年々と取引してくれる店舗は減り、ここ1年間は1軒も交渉が決まらない月もあったようだ。
口数の多い方ではなかったが交渉が下手だったわけではない。むしろ、見た目も比較的さわやかで交渉の際は社交性のある態度を取ることもできていた。
だが、彼の務める商店は目先の利益しか見ておらず、解決策を見出すこともなく従業員たちに日々罵詈雑言を吐いていた。
しかし彼はその仕事以外にも、街で起きたゴシップの内容をまとめたものを書くことをしていたので、話の半分は上の空で聞いていた。
ゴシップの内容をまとめた紙面が出来上がると広場の掲示板に広告も載せて張り出し、広告を載せた店舗から問い合わせに応じた給金をもらう仕組みだ。
彼はいずれ、その本業以外の仕事で生計をたてるつもりだったが、実際の胸の内は
(こんな糞みたいなゴシップ読むやつの気が知れない・・・)
そう嫌悪感を抱いていた。そんなことを思いながらも数年経っていたが、ここ最近どうも広告の給金を仲介するグングニル商会のようすがおかしい。
元々、広場にある掲示板はグングニル商会が管理してはいたが、ここ最近になってからは掲示板に張り出す申請をしても誰の目にも付かないようなところに掲示される始末だ。
そんなことが同業者の間でひそかに噂され始めて1カ月。
3月3日を迎えた。
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