まだ名もないスキル#20「はい!そうです!」

 受け取った名刺には
『冒険者ギルド:NRU 生活保安管理課 主任 イッズ・ウォルド』 
 そう書かれていた。

「それで……本日はどういったご用件で?」
「いや~、ここで人が魔獣になったって話を聞きましてね」

「あ~、そうなんですね」
 そう言いながら、頭の中では
(ニグルドが話したのか。まぁあの怪我の具合だったら、聞かれるよな普通。ってことは俺がミーゼルを殺ったこともか?そうなると……俺は人殺し?いや、ちょっと待てよ。あの時は魔獣だったからセーフなんじゃないか?でも俺、冒険者登録してないし、怒られるんじゃないか)
 そんなことを考えていたが、ギルド職員は話を続ける。

「冒険者ギルドの生活保安管理課としては、市民の皆様の生活を守ることが仕事なもんですから、現地調査に来た次第です。」
「あー、はい……」

 突然のギルド職員訪問に、イーサンは当たり障りない返答をすることしかできなかった。

「ちょっと、中の方を調べさせてもらってもよろしいですかね?」
「あー、大丈夫だと思います。どうぞ」 
 ここで変に返しても不審がられるかもしれないと思った発言だった。

 ギルド職員は商会の中央までくると”計測”と唱える。
 時計のようなものが現れ、0から120%で割り振りされていた。

「なるほど~、確かに間違いないですね」
 数値は10%のところを針が指している。

 このときイーサンは内心焦っていた。
(スノウさん。やっぱり、”洗脳”あったほうがよかったんじゃねぇか?早速、使い道きてんですけどぉー!どうすんの?これからどうすんの?)
(うっさいわね~)
(心拍数が急上昇しています。呼吸を整えてください)
 早速、”自動アナウンス”のレベルアップ効果が発揮された。

 閃いたようにイーサンが続く
(よし!逃げたことにしよう!俺が殺ったってニグルドが言ってた?いやいや、そんな夢でも見てたんでしょう(笑)!ってことで誤魔化そう!よし、完璧!)

 そんなことを思っていると、ギルド職員が
「あなたの怪我も魔獣に?」
 氷で冷やしていた顔の怪我をみて聞いてきた。

「はい!そうです!」
 ここぞとばかりに嘘をつくイーサン。
 なんなら、俺も気を失ってたことにしようかとすら考えていた。

「そうですか~、これは痛そうですね~」
 怪我の具合を見ながらギルド職員が眉をひそめた。

「とりあえず、今日はこの辺で帰りますので。もしも魔獣を見かけたら名刺を半分に破ってください。そしたら、安全なところに転移されますので」
 そういうとギルド職員は商会を出ていった。

 どうやらニグルドは魔獣がどうなったかまでは話してないようだった。

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