翌日、商会の仕事を終えてやってきたのは『冒険者ギルド:NRU』だった。
ギルドの中は活気に溢れており、壁にはひと際目立つ装飾されたボードがあった。それを見ると週間、年間ランキングとある。また、累計ランキングには『シエロ』と知っている名前があった。
受付けに行き、冒険者登録したい旨を伝えるとあっさり登録できた。登録すると、受付の女性に手のひらサイズの四角い塊を渡される。よく見ると切れ目がどの面にも縦横に二本ずつ均等な間隔で入っている。
女性が四角い塊に向けて”展開”と唱えると、切れ目を境に小さな正方形27個になり、核の部分を残してイーサンの周りを囲むように移動すると消えた。
核の部分も少しすると手のひらから消えていた。
「以上で初期設定は完了ですので、魔獣や魔物を討伐しましたらご報告ください」
とだけ言われた。
ギルドのシステムをよく理解していなかったイーサンが質問する。
「え~と、討伐した魔獣や魔物はどうすればいいんですか?」
受付けの女性が何かに気づいたように話す。
「あっ、そのままで大丈夫ですよ。低位の魔獣や魔物は核を持ってないので少しすれば気化します。また、それ以上の魔獣や魔物でも核を持ってる個体はほとんどいないので同じように気化します。素材の買い取りが行われるのは核を持った個体だけになります。」
(なるほど~。じゃあ、冒険者ってほとんどボランティアみたいなもんなんじゃ……?)
そう思って頭を傾けていると、受付けの女性が話を続けた。
「まるでボランティア。または単なる自己満足。そう思いますよね」
ハッとするイーサン。
「そんな不遇の職業だった冒険者をここまでの活気にさせたのが、当冒険者ギルド:NRUの代表。……いや、冒険者の母……。梅さんなのです!!」
その後、受付けの女性は火が付いたかのように話し出した。
要約するとこういうことらしい。
①梅さんは20年ほど前に異世界からやってきた転移者
②名前の通り性別は女性。年齢は80を超えるという
③先ほどの四角い塊は梅さんのスキルで音声や映像を撮るもの
④撮った音声や映像をアニメ?というものに編集して異世界で流すらしい
⑤多く見られることで梅さんの二つ目のスキル”換金”でこちらの通貨に換金できる
⑥梅さんが将来いなくなった後が心配されたが”換金”スキルは孫のマツに引き継がれ、取得可能スキルに表示されているとのこと
そのあとも受付けの女性の話は梅さんのあれやこれやが続いた。
受付けの女性が一息つくと、イーサンの姿は消えていた。ふと、あることの伝え忘れに気づいたが
(まあ、そのうち気づくでしょ)
と思い、次の冒険者の受付けを始めた。
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