まだ名もないそのスキル#25「ブラックオーク」

 イーサンの両肩からガックリと力が抜けたのがわかった。

「……はぁ」

 一気に老け込んでしまったかのような……ため息だった。

 イーサンにはスノウが意気揚々と出てきた時から、こんな事になるような気がしていた。

「んで、スノウさんここは何処なんだい?」

 イーサンは話し方までも、老け込んでいた。

「見てわかるでしょ!ジャングルよ、ジャングル!」

 やけにワクワクした様子で飛び回りながらスノウが言うが、聞きたいのはそう言う事じゃない。

 聞き方を変えてみる。

「魔獣は?」

「出るに決まってんでしょ!」

 ですよね。

「どのぐらい?」

「いっぱいいるわよ。というか、この島には魔獣しかいないわよ。今は主に三種族が縄張り争いをしてる感じね!」

 うんうん。

「強いの?」

「雑魚なんて相手にしてどうすんのよ!」

 スノウが呆れている。聞き方が悪かったようだ。

「さっき『今は』って言ってたけど、元々は何種族もいたの?」

「そうね!こんだけ広い島だから昔は数百の種族がいたはずよ!」

 なるほど、少しずつだが見えてきた。

「つまり――」

 そう聞こうとした時だった。

 イ“ィ“ィ“ィ“ィ“ィ“――

 生き物が大きく叫んでいるのが聞こえた。

「この鳴き声!ブラックオークが近くにいるわ!」

「ブラックオーク?」

「三種族の中の一種よ!オークの三倍は強いんだから!」

 スノウはワクワクしているのか、少し鼻息が荒い。

(三倍……。まず、そのオークとやらの強さを知らんのだが)

 そんな事を思っていると、近くで草木を掻き分ける音が聞こえる。

 その音はどんどん近くなり

 ガサガサガサガサッ!

 

 正面の草の影から飛び出してきたのは、傷だらけになった二足歩行の黒い豚だった。

 

(これがブラックオークッ!)

イーサンは咄嗟に両腕で身体守ったが、二足歩行の黒い豚は着地に失敗してこけてしまった。

イーサンはチャンスとばかりに、急いでキューブを手にして展開させる。

「展開! スノウ出番だ!」

 しかし、スノウはイーサンを無視して、二足歩行の黒い豚に近づいているようだ。

「あっ!やっぱりトンタローじゃない!あんた大きくなったわねー」

 トンタローと呼ばれたブラックオークもスノウに気づいたようだった。

「スノ……ウさま……にげ…て」

 そう言うと、ブラックオークのトンタローは気を失った。

 するとまた、トンタローのやって来た方角から草木を掻き分ける音が聞こえた。それも複数がこちらに向かっているようだ。

「客人よ!遊んであげましょ!」

スノウはそう言うとイーサンの体に入り

《解ッ!》

 と言った。

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