翌日。
商会の仕事が終わり、イーサンはすぐさまキューブを展開した。スノウが急にテレポートでダンジョンに行っても困らないようにだ。
だが、スノウは無反応だった。なので、ブラックオークの村にいくのかを聞いてみる事にした。
「昨日は時間がなくてトンタローの村に行けなかったけど、今日は行くのか?」
スノウがイーサンの体から気だるそうに出てくる。
「はぁ〜、あんたバカなの?何でわざわざ豚(ブラックオーク)どもの巣に行かないといけないのよ」
その言葉にイーサンは鳩が豆鉄砲を食ったように目をパチパチさせた。
そして、昨日との様子がまるで違うスノウに答える。
「エッ? いや、昨日トンタローから村の事を聞いた時、楽しそうにしてたじゃん?」
スノウがこれだからと言わんばかりの動きをすると話し始めた。
「はあ?あんた社交辞令って言葉も知らないの?単なるその場のノリよ、ノリ。それにトンタローは馬鹿だから私の言う事聞くけど、他の豚どもはわかったもんじゃないわ。それに私、豚どもの『イ“ィ“ー』って下品な鳴き声が嫌いなのよね〜」
いつも以上に口が悪いスノウだった。
また、どうやら今日は魔獣狩りの気分でも無いらしい。
手持ち無沙汰になったイーサンは冒険者ギルドに行くことにした。ギルドでは過去、冒険者たちがキューブで撮ったものが見れるからだ。
とりあえず『日間ランキング』で上位の冒険者たちを見てみることにした。
「どうだった?」とスノウに聞かれたら、たぶんこう答えるだろう……
「一人でめっちゃ喋ってた!」
もっとわかりやすく言うと、『一人称視点?』または『解説者:私』と言ったところだろうか。
そして、聞いていて小気味良い感じがした。
それに対して、イーサンとスノウのものはというと。
メインの解説はキューブで設定した異世界の『津田健○郎』氏が話しているのだが、たまにイーサンの声になっている。
その事をギルドの受付けに聞いてみると、元々そうなる仕様らしい。
なので、冒険者はギルドに設置してある装置でそのスキルを習得して使っているとのことだった。
もちろん、イーサンもその装置を使ったが何度やっても【エラー】が出るだけだった。
試しにスノウに頼んでみたが、このままの方が面白いからと拒否されるだけであった。
ただ、受付けの人によるとキューブは学習型なので、そのうち改善する可能性もなくはないと慰めてくれた。
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