(はぁー。またスキルか……)
イーサンがそんな事を思っていると、受付けの女性は話を続けた。
「まあ、あの装置はどなたにも適応するわけではないので、お気になさらずに投稿を続けて下さい。実際のところ、私どもも異世界(むこう)の方々がどういったものを好むかを必ずしも理解できている訳ではございませんので」
確かにそうだ。
こっちと異世界(むこう)では趣味趣向が違って当然。ふと、男の冒険者二人がランキング表を見て「何であんなのが」と話をしていた事を思い出した。
そんなことを思い出していると、隣の受付けで女性の冒険者が叫んだ。
「なんで私がランキング圏外なんですか!異世界(むこう)に人気があるって聞いて、行きたくもないオーク討伐行ったのに……この結果はあんまりじゃないですか!」
その悲鳴とも呼べる叫び声を聞いて、イーサンは胃のあたりが締め付けられる感覚があった。
「同じだ……」
イーサンは自分でも意識してなかったが、小さな声が漏れだした。
また、奥のバーカウンターで酒を飲んでいる冒険者たちは、受付けで癇癪(かんしゃく)を起こしている女性冒険者のようすを酒の肴にして笑っていた。
その冒険者たちは顔見知りも多いようで、長年冒険者をやっていることがわかった。
冒険者稼業が昔より活気付いたとはいえ、異世界(むこう)に合わせて思った結果が出なければあの女性のようになるだろう。
かと言って、長年冒険者をやっていて女性の様子を酒の肴にするということはそういうことなのだろう。
イーサンは岐路に立たされている気がしていた。
異世界(むこう)に合わせる道と合わせない道。
どっちが正解で、どっちが間違っているというわけではない。
結果なんか結局のところやってみないと分からない。あの女性冒険者も思った結果であれば、バーの冒険者たちと立場は逆転してただろう。
ただ、今言えることで確かなのは……
「魔獣を狩りたい」
それだけだ。
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