いつもと違う午前が過ぎ、午後の日常業務を終わらせ商会へ向けて戻っていると天気が徐々に荒れだした。風は吹き上げ、時折だが生ぬるい雨が強い風と共にやってくる。街中を行きかう人たちは雨を避けるように駆け足となっていた。
そんな人々を横目にイーサンの頭のなかでは小さな鐘の音がなっていた。
(チーン・・・チーン・・・チーン・・・)
だが、イーサンはなんか聞こえるなぐらいにしか思っていなかった。
商会に戻ると既に門には鍵がかけられた。仕方がないので、家に帰ることにする。帰る間も天気は先ほどのままだった。
広場を通るあいだ、スキルによって一瞬の風景を保存できるようになったもので街なかを撮る20代にいかない二人組の女の子がいた。何やら盛り上がっていた。
(なにをそんな撮って残すものがあるんだ?)
そんなことを思いながらも、邪魔にならないように道脇に向かう足を少しはやめた。
すれ違いざまに一人の子と目が合ったが、視線を帰るルートへ戻すイーサン。女の子たちに背を向ける距離になったころ、再び保存の音がきこえた。
イーサンは感覚的に、自分も風景と一緒に写っていることがわかった。
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