そんな、普段では起こらない日が過ぎて二日経った午後。別の街にいる、複数の商会を管理する責任者からフクロウを通じて連絡が入った。
この世界では遠く離れた人と話そうとするとき街が管理するフクロウにスキルをかけ、話すことができる。なぜフクロウなのかはわからないが、フクロウたちらは生まれながらにして【タス】が潜在意識下では繋がっているらしい。
「イーサン!大丈夫なのか?」
フクロウを通じて責任者のミーゼルが、まるで父親が愛する息子を心配するような声のトーンで話しかける。イーサンはなぜそんな事を言われるのか身に覚えがなかったし、なんでそんなことを言ってくるのかも理解できなかった。
「えっ?何のことですか?大丈夫ですけど・・・」
そういうと、イーサンが商会に遅れてやってきた日に不思議な行動をしていたという事を聞いたとのことだった。
イーサンは元々記憶力の良い方だったので、ミーゼルのいうようなことをしていれば覚えているはずだ。その後も、ミーゼルの聞いた話とイーサンの記憶が嚙み合わない会話を少し続けた最後、
「ほんと心配だから、一度診断を受けてくれんか?」
イーサンは本意ではなかったが、ミーゼルには昔に世話になったこともあり安心させたい気持ちもあったので申し出を受け入れた。
イーサンが診断所に来るのはこれが初めてではない。20代初め、一度来たことがあった。そのときは【キカ】の診断を受け投薬治療となった。この世界では、人の見た目のまま中身は魔人化するキカと、中身だけでなく見た目も魔人化するものがあった。
イーサンの母親もイーサンが幼い頃に【キカ】し、長い間の投薬治療を続けていたのでキカの根本的な治療だとは思っていなかった。幸運にもイーサンは、規則正しい食生活と運動でそのときは完治した。
それなのに、、、今回の診断結果も【キカ】だった。
2度目のキカから元に戻った話は聞いたことがない。このときのイーサンにはキカから元の状態に戻る自信は無かった。
コメント