まだ名もないそのスキル#7「同居人」

イーサンの診断結果が耳に入ったのだろう、兄のユーラウスが小一時間離れた街から馬車で家までやってきた。

「しばらくの間、実家で休め」

そう言って、今回の経緯についての話は特にせずに荷造りを手伝ってくれた。

実家に着くと父が1人いたが、フクロウを通じて連絡してきたミーゼルのような感じはなく、どこかため息が漏れ出たような雰囲気さえあった。実家では過去にユーラウスと一緒に使っていた部屋で寝泊まりすることになった。

部屋で荷解きをしているとユーラウスと父との会話が聞こえる。

「連絡した通り、しばらくの間ここに居させるから!」
「しばらくの間ってどのくらいよ?そんな置いてられんぞ」

父の言葉からもイーサンにはここに居て欲しくないという様子がわかった。しばらくして、ユーラウスが部屋に入ってきた。

「悪いけどイーサンを一人で居させるよりは、まだここに居てもらう方が安心だから。」

そう言い残しユーラウスは帰っていった。

父との同居生活も3日を過ぎたころ、ユーラウスが再びやってきた。

「調子はどうだ?」

元居た家に帰りたいと即答するイーサン。まだ心配だとユーラウスが言うが、ここにいるよりはましだと元居た家に帰ることを伝えるイーサン。少しの間、会話は平行線をたどったがユーラウスが折れることとなり、イーサンは元居た家に戻ることになった。

帰りしなユーラウスが父に対する鬱憤を独り言のように話していたが、イーサンは軽く相づちをするぐらいで上の空だった。

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