「それよりもおまえ魔人だろ?なんで家の中にいるんだ?」
敵意を感じないにしろ、魔人は人族から見れば恐怖の対象であり、ダンジョンが生まれる理由も新たな魔人が誕生してそのスキルで作ったとさえ言われている。そんなやつが自分の家の中にいるのだ。
また、魔人から言われた言葉にちゃんと返答できないこともあり、イーサンは話を変えたかった。
「そんなのこっちが聞きたいわよ!私は2099年もかけて、あんたら人間を廻って力を付けて来たっていうのにー!」
じだんだを踏みながら話す魔人がなんかかわいかった。
「つまりお前はー」
「お前じゃなくて、スノウ!もう一回言うわよス!ノ!ウ!」
そう魔人のスノウはいうと、遮ったイーサンの言葉に「そうよ」と返事をして、最後の憑代であったことを打ち明けた。
「なんだよそれ!そんなことなら、いっそのこと魔人に」
すべてを言い切る前にスノウ渾身の拳が塞ぎ込もうと体を丸めかけていたイーサンの顎に飛んできた。
「ゔっっ!」
白目をむきながら後ろに倒れるイーサン。その拳は異世界の格闘ゲームで見たことのある昇竜拳だった。
ベッドの上でハッと目を覚ますイーサン。なんだ夢かと、顎をさすりながら起き上がると
「夢じゃないわよ」
イーサンの太ももあたりで横になっているスノウがしゃべった。
「よしっ!」と、もう一度眠りに就こうとしたイーサンの布団を取り上げるスノウ。
一連の小競り合いが続いて、スノウがイーサンに聞く。
「これからあんたどうするの?」
やはり即答はできない。やりたいと思ったものをやってきた今がこれだ。むしろ年齢的にも、執着さえ生まれてきていた。スキルなしにはこの道しかないのだ。そう思っていた。
イーサンの様子を見かねたスノウが口を開く
「ところでさぁー、あんた。もしかしてスキル開花してんじゃねぇー?」
得意げな様子でニヤニヤしながらそういった。
「確かに!」
魔人のスノウの出現を考えれば、そうとしか思えなかった。
この世界では”鑑定”のスキルによって、その人のステータスがわかる。また、国家レベルの鑑定士にもなると、今後取得可能なスキルやランクアップまでの必要な経験値までわかるという。
しかし、鑑定してもらうには多額の金がいる。ましてや、その鑑定で”スキルの項目”がなかったとしてもお金は先払いだ。また、鑑定士を謳った詐欺もあるぐらいだ。
そんなことを考えていると、スノウが咳払いをした。
「んっ!んっ!なんなら、わたしが見てやってもいいわよ」
「マジでー?!」
魔人のスノウが神様のように見えた。
(さすが2099年も人々に取り憑いて来ただけはある!)
「お願いしますっ!」と見事なお辞儀をすると、スノウが”ステータス”とイーサンに手をかざして唱えた。
どれどれと、スノウがイーサンのステータスを見ていく。
「あら、スキルの項目が出来てるじゃない!」
そういうと、イーサンは「っしゃあぁぁぁー!」とガッツポーズをした。
(一体どんなスキルが身に着いたんだ?スノウのことだ、今後取得可能なスキルまで見えるんだろな)
そう思っていると、スノウの様子が少しおかしい。
「おいおい、まさか俺のスキルが凄すぎて言葉を失ってんのかー?」
そうイーサンが調子づいていうとスノウが
「その逆?」
と言い、ステータスの映し出されたものを見せてくれた。
「ん?なにも書いて無くね?」
確かに『スキル』の項目が【NEW】の文字と並んでいた。
しかし、その欄には何も書かれてはおらず、今後取得可能なスキルさえも書かれていなかった。
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